ただ、君の隣にいたいだけ
act 6 もう、優しくなんてできない
一日、二日、三日。気がつくと練習が始まって五日が過ぎようとしていた。体が硬くて柔軟運動からうまくいかない。


マット運動も思うようにならない。朝は疲れて起きれなくて昼くらいに起きてはご飯を食べてひたすらナイトレンジャーのテレビを見る日々。


私が演じるナイトピンクはお嬢様。話し方も独特で「私が相手ですわよ」となんてお嬢様言葉。内股歩きで一番弱いけれど負けん気は強く結構自分から向かっていくタイプ。



でも、動きが他のヒーローたちよりも特徴的だから掴みやすいといえば掴みやすいとは思う。ただ、まだそこまでいけるほどの練習は重ねてはいないけれど。でも、主題歌は歌えるまでになった。



前奏からなんだか子どもを惹きつけるようなメロディ。サビに入るとなんだか踊り出したくなる。たまに一緒に見ている明海が歌って踊っている。明海だけが今の私の癒し。


安易に引き受けたつもりもないし、亮輔さんがこの仕事と誠心誠意でぶつかっていることもわかる。だから絶対に途中で投げ出すことはしたくない。でも、身体があの場所にそろそろ悲鳴を上げてきた。


練習場所は日によって違う。この間は小学校だったけれど基本は事務所の地下にある練習場が主。あの場所は窓もないし、かなり封鎖された空間。



熱気がすごくいつも汗だくで毎日、練習時間はTシャツを3枚は着替える。クラクラになりながらそれでもムチを打ってただ黙々と励む。来週からはいつもの受け身の練習に殺陣がプラスされる。



ただでさえ、ついていくことに必死なのにまだどんどんと追加される練習メニュー。私、潰されるなよと暗示をかけるしかない。
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