恋ごころトルク
3 サスペンション
3 サスペンション

何があっても、あたしはあなたの味方。

それぐらいの覚悟は、できている。



***

「……うっ……ぐぬぬぬ」

 今日で5回目、6回目? 普通二輪教習も1段階の折返しあたりだろうか。週1か、良くて2回。1時間、良くて2時間しか乗れないから、なんだか進んでる実感が無いんだよね……。一応、段階を踏んでいるんだろうなっていうのは分かるけど。

 いつも予約時間は午前中。朝のうちに乗っておいたほうが、頭も体も回るような気がして。

 光太郎さんとの練習は、まだ1回しかしてない。だって、光太郎さんも忙しいだろうし、ミナセの裏の駐車場って要するにショップ営業時間内だし、頻繁に行くと迷惑だろうから。練習はしてるよ、自転車で。

 相変わらず乗り始め、発着点までバイクを移動させるのに手こずってる。重いよ……尋常じゃないくらい重い。やっぱりタンクに砂が詰まってると思うのよ。

 やっとグラグラしながらバイクを真っ直ぐに立て、スタンドを払い、後方確認、乗車してミラー合わせてエンジンかけて……って、一連の動作が覚えられないよ!

「はい、じゃ後に付いて来てください」

 先生の後を走る。これは段々慣れて来た感じ……ただ、スピードに付いていけないけど。早いよ先生! もっとゆっくり走って!

 ヘルメットの頭はフル回転。手足をこう動かせ、下半身は、上半身は、たくさん考えて走ってる。慣らす為に外周をぐるぐる走るのは教習始まると必ずすることだ。この外周を走るのはわりと問題無いと思うんだ。思いバイクも、走り出せばなんとかなる。

 先生がウィンカーを点灯、8の字やスラロームなどのパイロンがあるスペースに停止した。あたしも習って停止する。

「はい、じゃあ今日はクランクとS字コース走ってみますよ」
「はい」

 クランクとS字。出たよ。車でも苦労するよね。それは覚えてるよ。あたしはクランクとS字よりも縦列駐車の方が苦手だったけど。

「クランクは、進入の時のスピードと視線を注意することです……」

 クランクは、左折合図で進入、右折から左折で出口に繋がる用になっている。

 先生の話は、頭で理解してても実際やってみると難しいよ。おっかなびっくりやってるから悪いのかなぁ。実際ビクつきながら乗ってるけど。


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