鎖恋－僕たちクズですー

１：真奈がやってきた♡

「ゆうくん♡」

ドンドンドン・・・

誰かがドアの外で僕を呼んでいる気がした。

「・・・んなワケないか」

僕は布団に包まり、至福の２度寝を味わっていた。

冬の早朝はどうしても起きられない。

目は覚めていたものの体は完全に毛布に絡みついていてそれを無理に剥がそうとも思わなかった。

ドンドンっ・・

確かに誰かがドアを叩いている音だった。

こんな朝早く訪ねる客なんているわけがないのにいったい誰なんだ？

「部屋を間違えるにもこんな時間はないよなー。」僕はしばらく無視をしていれば

やがて去っていくだろうと、居留守を装っていた。

「ゆうくん♡ってばー」

確かにそう聞こえた。

「は？・・女？」

僕は一瞬、ハッとした。眠気でまだぼやぼやしている脳内を一時的にフル回転させ考え始めた。

「オレのことゆうくん♡なんて呼ぶ女、今のところいないよな・・・」何度振り返っても同じ答えだった。

目を閉じても・・・浮かんでくるのはリアルな彼女は一人もいない

「コワっ」次の瞬間　僕は恐怖すら感じた。

ドンドン・・・ドアを叩く音は続いていた。

さすがに近所迷惑。

「クソっ」僕はとうとう足先で毛布を剥ぎ

颯爽と玄関まで駆け寄りドア窓を覗いてやった。

女は背を向けていた

髪は肩にかかるくらいの黒ロングで

両手にボストンバッグを持ち、じっと立っている。

このドアが開くのを待っているのか・・・「なんだよ・・怖いな。」

僕はこのドアを開けるのがやっぱりなんか怖かった。

５分後、僕はまたドア窓を覗き込むと今度はそのまま背を向けドアに寄りかかっている。

「ここをどかない気だな・・」しびれを切らした僕は

ドアチェーンをかけ

少しだけって決めて

ドアノブを回し始めた

「あの・・・・どちら様ですか？」

女はその声と同時に振り返った

「あっ・・・」僕はその顔にうっすら懐かしさを感じていた。