サヨナラからはじめよう
迷い男を拾いました
それなのに。


何故今こんなことに?





もう永遠に会うことのなかった男が今目の前にいる。
いや、倒れていると言った方が正解か。
今にも雪が降りそうなほどの寒空の下、
何故かマンション入り口の前で横たわっている。


何でこんなところにいるの?
まさかここに女がいて追い出されたとか?
コイツならあり得る。
っていうか誰か通報してもおかしくないでしょ?
いっそのこと自分が通報してしまおうか。


・・・いや、面倒なことに巻き込まれるのはゴメンだ。
一切合切関わり合いを持ちたくない。



・・・見なかったことにしよう。


そう自分に言い聞かせると、何事もなかったようにその横を通り抜けてマンションへと入ろうとした。


ガシッ!!


「ひぃっ!!!」


すり抜けようとした足が横から伸びてきた手に掴まれていた。
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