ただ、君の隣にいたいだけ
act 9 今から残酷なこと、言うよ
無事失敗せずに終われば話したいことがある。話したいことって何?頭の中はグルグルと考えを巡らせるけれどちっとも思いつかない。

あっけなく腕は離され、帰ろうかなんておいてけぼりの私。



「そ、そういえばスーツやマスクどうしたんですか?」



本題に触れたかったけれどどうせ、聞いたって教えてくれないだろうな。だからあえて戸締りを確認し始めた亮輔さんに違う話題を振ってみた。



「スーツやマスクは盗まれて悪用されないように終わってすぐに事務所に持って帰るんだ。昔、悪用した最低なやつがいたらしくてそれからは使わなくなったマスクも全部破棄するようになったんだ」



「えっ?悪用?ひどい。最低ですね」



「本当、正義のヒーローが犯罪なんて子供たちが悲しむようなことするなんて最低だよな。だからもう二度とそんなことは見逃したくない。よしっ、後は控えに鍵掛けたら終わり。帰ろうか、花菜ちゃん」



「亮輔さん、今日もうちに帰ってくれるんですか?」



「もちろん。花菜ちゃんが嫌がってもそのつもり。もうおばさんにも頼みこんでるし、実家に送った荷物も全部また送ってもらうよ」



「その、心境の変化も明日の話に関係してるんですか?」
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