もう一度、最初から
*その3*
「では…朱里の見事なUターンぶりに、かんぱーーーい!」
「ちょ…やーめーてーよぉお」

ここら辺にしては、雰囲気も、料理の味もまあまあかな、と那奈に勧められて来たお店は、確かに中々いい感じ。

あたしと、高校以来の友人、高岡那奈(タカオカナナ)は同時にグラスをぐいぐいと傾ける。

那奈はぺールビールを。

あたしは、梅酒サワーを。

冷たくて甘い刺激が喉を伝わると、ふっと幸せな気持ちになる。



那奈は勿論、あたしの身に起きたこれまでの全てを知っていて。

披露宴では、那奈の作った生花のブーケを持つはずだったし、スピーチもお願いするはずだった。

大学進学を機に東京に、出てきた友達も沢山いたけれど、那奈は地元居残り組だった。

あたしと一緒にギャルメイクをして遊んでたけど、あたしなんかより、よっぽど頭もよかったのに…。


< 41 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop