もう一度、最初から
*その4*
「朱里ちゃんのそれ。つけま?」

吉田さんが、カウンターで並んでいるときに聞いてくる。

「あ、まつパーです」

「いやー、目に液入りそうで怖くない?」

「あ、そうでもなかったですよー、目ぇ、閉じてたし」


主婦の吉田さんは、38歳。

あたしより10歳上なのに、一番上の子が15歳。
そこから、10歳、3歳と続く。

ほぼすっぴんなのに、驚異的につるつるな肌。

子どもの年齢が離れていることと、吉田さんのサバサバしたキャラからなーんとなく「子連れ再婚?」と思っていたけど、

「うちの旦那はねー、性欲に波があんのよ」と、雑誌コーナーに立ち読みしているお客様が3人いるのに大きい声で言い放つ辺りからして、どうやら再婚ではないらしい。

そんな吉田さんとは、一番シフトが、同じことが多い。
土日のみやりたい山口君、バイト代上がる土日と、あとは平日ちょこちょこ(多分エノキに会う為?)の千波ちゃん…

の、穴埋め的に、あとは平日しか入れない吉田さんと、どこでもいけます状態のあたし。
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