番外編☆獣系男子×子羊ちゃん
初恋
最寄り駅より一つ手前の駅で降りて、
蒼介さんと手をつないで
ゆっくりと家に向かって歩いた。


「モモ、ひとりで不安になるなよ。

モモの気持ち教えてくれなかったら
一緒に悩んでやることも
気持ち楽にしてやることも
できないだろ?

つっても、俺も
好き勝手やってきたからな…

こんなんで、
俺のこと信じろって言っても
難しいよな……。

ごめん、ごめんな、モモ。」


そう言って
蒼介さんはやるせない表情をして
目を伏せた。



「信じてる。
蒼介さんのことは信じてるの。

それでも、不安になっちゃうのは
多分、私が自分に自信がないからなの。

蒼介さんのせいじゃないの。

蒼介さんの隣にいるのが、
私でいいのかなって思いが
いつもどこかにあって…

それなのに
一緒にいればいるほど
どんどんわがままになって、

蒼介さんのこと
ひとりじめしたくなって

それで勝手に不安になって…。

本当に……ごめんなさい。」



すると、
深くため息をついた蒼介さんが
私の顔を覗き込んだ。



「モモ、もっともっと
わがままになれよ。
それで、そのわがままを
もっともっと俺にぶつけてこいよ。

モモはどうしたら、
不安にならないでいられる?

俺はさ、とっくにお前に
独り占めされてるよ。


俺は、どうしたらお前の不安を
取り除いてやることができる?」


片手で私の頬を包みながら
首を傾げる蒼介さんの顔を
じっと見つめた。
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