Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
《11》独占欲

―紗月side-

「奥さん、腹減っただろ?食えよ」


松平さんは人質となった私に手厚く、夕食にと幕の内弁当を差し出した。



「でも、私は…」



「弁当に毒でも入ってると思ってんのか?」


「いえ…別にそのようなコトは…」


私は口角を上げて笑いで誤魔化した。


そして、割り箸を割って弁当の蓋をあけた。



「若頭、ビルの前に神楽坂社長の使いの者と名乗る輩が来ています」

下っ端の組員が松平さんのそばに慌てて近づき、報告する。

「何だと!?しかし、後藤が指定した受け渡しの場所はここじゃないだろ?」


「どうします?」


「人数は?」



「一人です」



「一人??いい度胸してるな…まぁ、いい連れて来い」



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