不器用なシンデレラ
12、無自覚って怖い
 本田さんがメールで連絡してきたお店は、城壁のような壁で囲われたイルネージュというフレンチのレストランだった。

「高そう・・・」

 戸惑いながら入り口に入り名前を告げると、螺旋階段を上がって2階にある個室に案内された。

 庭のイルミネーションが凄く綺麗で、レストランというのを忘れてしまいそうだ。

「やあ、場所すぐにわかったかな?」

 本田さんがいつもの笑顔で迎えてくれる。

「はい。でも、凄く綺麗なところで、私なんかが来ていいのか・・・・」

 退職の相談するのにこの場所は逆にきつい。

「鷹野にも聞かせられない話でしょう?静かな場所が良いかと思って」

「そうなんですけど、でもこういう場所って本命の彼女とかと来る場所じゃないですか?」
< 125 / 358 >

この作品をシェア

pagetop