重なり合う、ふたつの傷
メール


二日後。


私とルミの帰る時間が変わった。


他の女子もほとんど部活に入ってしまったけど、メールだけは来た。


その日の夕方、私が家に帰ると着信音がした。


《佐伯先輩、ゲットしちゃった。今、一緒なんだ。部活終わったらデート行く》

すぐに返信した。

《よかったね。行ってらっしゃい》


その日だけは家に親がいなくてよかったと感じた。


冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターを出し、飲めるだけ飲んだ。


お腹がゴロゴロ鳴った。


「はぁー」


私はあの日以来、天野くんと話すどころか、まともに横顔さえ見れなくなっていた。


その日の夜もメールはどんどん来た。

返信するとまた返信され、また返信して。

それの繰り返し。



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