重なり合う、ふたつの傷
天然系真面目女子


ルミを想いながら帰宅して、ご飯を食べて、その後、天野くんと二人でソファーに座ってテレビを見た。

「今夜、風呂一緒に入る?」

どうやら天野くんはテレビを見ているふりをして、そういう事を考えていたらしい。


だから、即答した。


「やだっ」


「早いな、拒否するの。ちゃんと考えた?」


「考えたよ」


私と天野くんの会話は今テレビに映っている人気のお笑い芸人よりも面白いかもしれない。


「それにしても、神田めちゃくちゃ変わったな」


「うん。あどけなくてかわいいよね」


「まあな。その反動で梨織が化粧濃くするとかやめてくれよな」


「しないよ。私、顔に色々ついてるの好きじゃないし」


「目と口と鼻と耳がついてたらそれでいいよな。後、眉毛な」


ん? 天野くんも立派な天然のような気がしてきた。




< 73 / 209 >

この作品をシェア

pagetop