ルージュのキスは恋の始まり
2、叩かれた理由 ー 玲王side
「どうしてわざと叩かれたんですか?」

 あの女がいなくなると片岡が不意に聞いてきた。

 こいつは学生の頃からずっと俺の側にいる。

 それこそ朝起きてから夜遅くまでずっと。

 今は社長秘書という肩書きを持っているが、親友でも部下でもなく影のような存在。

 いや、たまに口うるさいから影とは言えないか。

 こいつの親父もじじいの秘書をしていて、親子で会社というよりは龍神家に仕えている。

 じじいは日本の経済界を牛耳っている龍神グループの総帥。

 70歳を超えてるのに、外国かぶれのせいか普段着はジーパンにTシャツという変人だ。

 しかも、神出鬼没。

 自分の立場を考えず、とにかく一人で歩き回るので周りの部下たちの頭痛の種だ。

 片岡の親父も相当苦労してるらしい。

 片岡とはもう7年の付き合いになる。
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