♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~
不可解な事実
吸血奇術師(マジカルヴァンパイア)こと、ヴァンパイア礼士との決戦も、あと明日(みょうにち)と近づいた、昼下がりの奇術同好会の室内。

春子と礼士は、ヴァンパイア礼士の挑戦への対抗策を語り合っていた。

「小谷静サイドの、恵さんの作品、『金色の天使』に危害を加えるやり口は解ったわ。

でも…」

「…肝心の、ヴァンパイアの、静さんの計画の手助け。これがどういう物かが、まだ見えてこない。

決戦は、明日だというのに。」

「ただ一つ、解っているとすれば、ヴァンパイアはその名の通り、奇術師である事。

奇術師であると言う事は…」

「そう、今回も僕達が想定している、この計画の最終着地点をずらしにかかってくるのは間違いない。

今回も、訳ありげなこんなヒントを書いた挑戦状、送りつけて来るぐらいだから。

だから、やはりこのヒントの意味する所を理解してみろって事だよね?」

「…とりあえず、礼士先輩。

ヴァンパイアは、私達のトランプマジックを応用したトリックを使用すると言う事ですから、ヴァンパイアのトリックを暴く為にもあえて私達の『怪盗クイーンを追え!』をやってみましょう!」

「ああ、そうだね。」

今、春子と礼士は、こじんまりとした室内で、正方形のテーブルを挟んで向かい合わせで座っていた。

そして春子を観客として、礼士は春子相手にトランプマジックを始めた。

「ここに、ダイヤとハートのKとJがあります…


そう言って、礼士は春子に右手に掴んだダイヤとハートのKとJを見せた。

そして机の上には、絵が裏向きにされたトランプのやまが置かれていた。
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