最も危険な  ルームシェア
α.プロローグ
「木村、また泣くのか、メソメソすんな。」

「言われなくてもわかってます。」

私は木村まゆ。

また同僚の滝野さんに叱られた。

毎朝営業に出る前に軽くミーティングをして

持参する資材の準備をすることになっている。

私は前日までのクレームを含めたトラブルがリストアップされている

A4サイズの白い紙を凝視した。

単価が間違っているという内容のクレームが記されていた。

それは再計算して見直したものだった。

そんなはずない。

3回は見直した。

それを滝野さんに言ったら

4回見直せと言われた。

私は悔しくて下唇を噛んだまま

目に涙がにじんできた。

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