極妻
6)ずっと待ってた






やがて夏休みが始まった。



都会の夏は茹だるように暑くて、しかもすることもないし、遊ぶ友だちもいない私は、ただ屋敷でぼーっと過ごしてた。


でもあのお高くとまったお方様たちと廊下ですれ違うたびに嫌味を言われ、気が滅入って仕方ない。


夏の間、台場でイベントをやってるとテレビで知って、旦那さんに『行ってみたい』と話したら、田舎モンの行くところやって、鼻で笑われた。


結局、引きこもりみたいな生活。


なんか、このままやったら私は……アイスのように溶けて消えてまいそうや。


いや腐ってまうかもしれへん。


その前に、もう一度だけ兄ちゃんに会いたい。


そんなある日、女中さんたちが「大倭会若頭が来てる」と話してるのを耳にした。



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