BOTANYUKI
TAKERU


私にはタケルと言う名前の
双子の弟がいた。

私は物心がついたときからタケルのことが大好きだった。

いや『大好き』という言葉は間違っている。

正しくは、私は弟という存在を通り越してタケルをとても愛していた。だろう。

物心がついた時からそんな予感はしていたが、その気持ちが決定的になったのは私たちが中学生の時だった。

中2の夏、タケルに初めて彼女が出来たのだ。

私はその時初めて自分のタケルへの恋心を確信し、そしてその芽吹いたばかりの恋心は確信と分かった瞬間あっさりと破れ去ったのである。

決して結ばれることのない想いを抱いたまま、私はタケルのそばですくすく成長し、捻れた愛情を抱きながらも案外まともな大人になった。

それはやっぱり、どんなに無理だと解っていても私にとってタケルは全てで、どんなことがあっても傍にいたかったからだと思う。


そして私と同じ想いを持った人物がもう一人。

それは幼稚園のころからタケルと私、二人の親友だった少年。

そう、ルカである。

ルカもまた私と同様にタケルを異性として、とても愛していた。
そして私と同様に決して報われない想いを長く抱いていた。


だから、私とルカはライバルであり同胞であり、内に秘めた想いを唯一共感できる相手という、ちょっと不思議な絆でその当時から結ばれていた訳である。


こうして私たち三人は仲良く幼馴染みとして成長した。

もちろん見た目には...だけど。


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