Kiss of a shock ~涙と~
第9章 「葛藤」
万理香は家に駆け込んだ。


朝帰りなんて、生まれて初めてで、一人の部屋に着いたらさっきまでの事が夢のようにも思えた。


けど、自分の着ている男物のぶかぶかのスエットが、姿見に映って、現実に引き戻された。


夢じゃない―。


どさっとベッドの上に腰を下ろしてうな垂れた。


メイワクダカラ


あの一言が、ぐさりと胸に突き刺さっている。


どうしよう―。。。


いつの間にか、こんなに好きになってた。


こんなに・・・。


つい昨日まで、名前も知らなかったあの人のこと・・・。


「どうしよう・・・。」


そう呟いて、鏡を見遣った。


健二とのことも、パパとママのことも、何も解決していない。


そういえば、鞄の中にあのお金も入ったままだ。




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