おじさまに、ドン!
言わない日々。






朝、いつものように朝食を作る。中学2年で美人さん達がマンションに来なくなってから、あたしが家事をするようになってたから。お料理はそこそこできる。


「お~……はよ」


ボサボサ頭を掻きながら、寛治さんがダイニングに出てきた。徹夜明けらしく、目の下にクマができて無精髭も生えてる。乱れたシャツの隙間から見える胸板の厚さに、ドキッと心臓が跳ねた。


「今、コーンスープ注ぐから座ってて」

「ん」


目を逸らしわたわたとお皿を用意する。寝ぼけ眼の寛治さんは、パンと間違えたかもきゅもきゅと布巾を口にしてる。


「寛治さん、それ布巾だから! パンはこれ」


焼きたてのパンを渡せば、なにもつけずに食べようとする。仕方なくバターを塗って渡せば、寛治さんは唐突に口を開いた。


「くるみちゃん、昨夜は遅かったみたいだな。なにかあったのか?」
「べ、別に……と、友達に勉強を教えてもらってただけだから。ほら、ドイツ語ヤバいでしょ。だから」


寛治さんはあたしが慌てて出した言い訳に、大して関心が無さそうな生返事を返して黙々とパンを口にする。 なんだか、ちょっとだけ悲しかった。

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