おじさまに、ドン!
決行当日です



このところ、あたしは毎晩遅かった。もちろん理由はあったけど、寛治さんに悟られる訳にはいかない。
日曜日にはマリカに付き合ってもらい、彼女のアドバイスに従いつつも気合いを入れて選んだ。


そして、誕生日当日の8月の末。とうとうこの1ヶ月の成果を試す時が来た。


夜になったマンションで、ケータリングサービスの豪華な料理を前に、寛治さんがワインをグラスに注いでくれる。今まで二十歳になるまでダメって言われてたから、大人と認められたようで嬉しかった。

照明を控えめにした室内で、キャンドルの仄かな灯りの中、2人きりで乾杯をした。


カチン、とグラスをぶつける澄んだ音に続けてしみじみと寛治さんが言う。


「いやぁ、くるみちゃんもとうとう大人か。おじさんは感無量だよ。これで源さんに面目も立つな」


源さんというのはお父さんの名前だけど。やっぱり、“親友の娘”だから、あたしを側に置いてるんだ……って思ったら、頭が真っ白になって。


いつの間にか寛治さんを壁際に追い詰めて、壁に手をついて彼を腕に閉じ込めてた。


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