私の彼は、“キス恐怖症”。《SS更新中
野良猫。


まだ熱の残るベッドで目を覚ます。

隼とは、何回も“そういうこと”になりかけたけれど、


(いつも私が寝落ちしてたもんな。)


最後までしたのは、初めてだった。


さらり、と隼の目にかかる髪をはらいのければ、鬱陶しそうに眉をひそめていて。

重い瞼が開かれて切れ長の目が私を見つめた。


『おはよ。』

「お、はよ。」


上半身に何も纏っていない隼に、
今朝の行為の熱がよみがえってきて顔の温度が上昇してしまう。


『夏織、』


「なに…?」


『そういうとこ本当、可愛い。』


「……っ、」


不意打ちは狡い。


『だから、離したくなくなる。』


ふ、と口元に弧を描いて笑う隼。


「隼は、狡いよ。」


『なにそれ。』


「だから私も、離れられなくなる。」


私の言葉に、泣きそうになりながら
微笑んだ隼の顔は、きっと一生忘れないだろう。

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