イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
19、幸せな時間 ー 桃華side
 お城なんて三日もいれば飽きる。

 美しい絵画も、綺麗な調度品も、豪華な食事も。

 城の中は瑠海とセーラが一通り案内してくれた。

 歴史ある建物だし最初は感動したけど、四日も城に閉じ込められていればやはり外の世界が恋しくなる。

 ひとりで東京に帰っちゃ駄目って言うなら、ちょっと息抜きぐらいいいでしょう?

 瑠海に頼まれた仕事は午前中で終わっちゃったし、ここでじっとしてるなんてもう我慢の限界だ。

 本当によく堪えたよ私。

 瑠海は午後はずっと側近と打合せみたいだし、決行するなら今がチャンスだ。

 鏡の中の自分をチェックする。

 眼鏡はかけたし、帽子で髪の毛は隠したし、ぱっと見では相澤桃華だとは気づかれないだろう。

 ヨーロッパの人から見れば、アジア人の男の子だ。
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