彼に殺されたあたしの体
見ている
あたしはその光景をジッと見ていた。


外は小雨が降りそそぎ、サァサァと音を立てている。


落ちた雨粒は乾いた土の地面へと吸収され、肌色の土は濃い茶色に変わっていく。


水分を含んで重たくなっていく土を、あたしの彼氏がスコップで掘り起こす。


ざくっざくっと、スコップの先端が土に突き刺さる音が雨音に混ざってあたしの耳まで届いて来た。


あたしは自分の顔を動かす事もできず、その光景の一部始終を見ていた。


彼の行動を止める事も、彼の意識を変えるために説得することもできず、ただただ、深くなっていく穴を見つめている。


彼の掘っている穴が何のための穴なのか。


なぜそんなに深く大きく掘らなければならないのか。


あたしはすでに知っていた。
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