レオニスの泪
数分が経過した位だろうか。




「落ち着いた?」




私は中庭のベンチに座っていた。


目の前には新緑が広がっている。





「―おかげさまで…ご迷惑をお掛けしました…」





あれだけ苦しかった呼吸は。


今隣に座っている、長い白衣を着た男性の指示により、直ぐに落ち着いた。




―『時間を掛けて、深く息を吸い込んだら、ゆっくりと吐き出すんだ。できるだけ、ゆっくり。』




ぐちゃぐちゃになった顔を、ティッシュで拭いてから、私はその謎の男性にお辞儀して。





「本当にありがとうございました。じゃ、私はこれで。」






慧を迎えに行く為に、ベンチから立ち上がった。






「え、ちょっと、待って。」






突如、慌てたような男性の声がする。





「君、そのままじゃ、危ないよ。」




「危ない?」




物騒な物言いに頭だけ振り返ると、男性も立ち上がっていた。


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