鬼部長の優しい手
命日と初対面



「そう。よかった。
上手くいったのね。」


「は、はい。
おかげさまで…」



昼休憩中の喫煙室。

皆が昼食をとっていて、
喫煙室にいるのは私と香澄先輩の二人だけ。



「それにしても、
だらだら長かったわねー。
あんたと塚本。」


「…返す言葉もありません。」



塚本部長と付き合いはじめて
一ヶ月がたった。

今まで色々相談にのってもらっていた
香澄先輩に、遅くなったが、
ありがとうございました、と、
無事上手くいってます、を伝えた。


報告した直後、香澄先輩は
少しつり目がちの目を細め、ふふっと
笑い、“よかったわね!”と自分でのことのように、喜んでくれた。




…数分前まで、嬉しそうに笑ってくれてた香澄先輩は一転、
呆れたように微笑み、
そこから先輩の説教が始まった。



「見てるこっちが、疲れたわよ。」

「すみません…」


今日何度目かわからない私の謝罪に、
香澄先輩は深くため息をついて、
また呆れたように微笑んだ。



…確かに、先輩の言う通り、なんかここまで長かった。
大幅に遠回りして来た感じ。


「…塚本部長にも、色々迷惑かけちゃいました。」


「…ねぇ、七瀬。
塚本もそうだけどさ、そろそろ
それ変えれば?」



しみじみと、これまでのことを思い出していると、香澄先輩は新しくタバコを一本取り、火をつけながらそう言った。




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