世界でいちばん、大キライ。
切ない思い


【To 曽我部久志 Sub シフトの件
今週の早番は火曜と木曜でした。麻美ちゃんによろしくお伝えください】

【From 曽我部久志 Sub Re:シフトの件
了解。伝えておきます】

あの日、胸が苦しくなる中で、桃花は約束通りにメールを送った。
そうして戻ってきたものがものすごく淡々としたもので、さらにがっかりと肩を落としたのは言うまでもない。

もしかしたら、元々そういった淡白なメールをする人なのかもしれない。
しかし、初めてのメールがそれで確認のしようもない。

それよりも、やはり人生初の告白が、いとも容易く玉砕してしまったこと。その放心状態が、なによりも心に大きな傷を背負ってしまっていた。

「いらっしゃいませー……おひとり? ですか?」

ぼんやりとした桃花に、まるでものすごく遠くからのようなやりとりがなんとなく耳に入る。
無心でグラスを磨いて一点を見つめていると、急に視界が遮られて顔を上げた。

「桃花ちゃん? 大丈夫?」
「はっ、はい! すみません! オーダーですか?!」
「いや、ほら、あのコ」

椎葉に視線で示された席には、リュックを背から降ろすところの麻美がいた。

「『葉月さんと約束してる』って言ってたけど」
「あっ……は、はい。そうなんです!」
「そう。それじゃああとは任せていい?」
「はい!」

気を引き締めて、麻美の元へと向かう。
桃花がテーブルまで行くと、麻美は笑うでも怒るでもなく、至って普通の顔で桃花を見上げる。

「あ、本当に来てくれたんだね。なにがいい? ドリンク」
「……ココアをお願いします」
「かしこまりました」

ふいっと顔を逸らしながらオーダーしたものはココア。
前回出したものをリピートされると桃花は嬉しくなった。

ココアを前回同様、ふわふわミルクを乗せて麻美の元へ提供すると、「着替えてくるね」とひとこと添えて桃花は仕事を上がった。
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