お見合いの達人
2の巻 女40にして立つ!

1 居候志願

何でここに?

ショッピングモールの通用口から出た所にある喫煙所で、

ぐびぐびとビールをあおっている男を見て驚いた。

木原、えーと、弟だ。


そうよ相手にしちゃダメ、

無視無視っ


視線を合わさないように、

横をすりぬけようとすると、

がっちりと腕をつかまれた。


ま、でしょうね。


「何か用ですか?」

「用があるから待ってたんだけど」

「わかった、

 分かったから、手を離して」


「やだ、放したら逃げそうだもんあなた。」


ふうっ

しょうがないか、

ため息をつきながら覚悟を決める。


「で?何?

 もう伯母さんから返事は改めてしてもらったわよね。

 あなたとももう何のつながりもないはずでしょ?」


「冷たいじゃん、

 仮にも一晩一緒に過ごした仲じゃん」


「じゃん?

な、馴れ馴れしいわね、

 一緒って言ったって、

その、……そ、そうよ酔っ払ったうえでのことなんて、

 無効でしょ?ノーカウントよ。ノーカウント!」


開き直りつつも、声は上ずってしまい

挙動も不審だ。


「あ-そういうこと言うわけだ、

 年下の男の純情弄んで、

 無効とか、

 さすか~40過ぎると場数踏んでて動じないってわけだ!」



「ちょっと、声大きいからっ」


コイツわざと大きな声で!


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