桃の姫〜最強姫の愛した族〜
第一章

桃の姫

細い路地に響く鈍い音。


「ねぇ、もうこれに懲りたらこんなことしないで」


ボロボロの男を見下すピンク色の髪を持つ少女。


その髪色は桃をイメージさせる。


だけど少女の表情は無。


「あ、後…その髪どうにかしたら?変」


トサカ頭の不良にそう言い、少女は路地から出る。


「ユズ!」


ユズ。


そう言われた少女は振り向く。


「ユウ」


「また一人で行って!」


「だって遅いんだもん」


さっきまでの気迫はなく、流れる空気は緩やかだ。


それは少女がこの少年を信頼しているのもあるだろう。


「ユキもシノも探してるんだぜ!?遅くても勝手に、しかも無言で行くな!」


「わかった。次からは気をつける。…多分」


「聞こえてるよ!多分はいらない!」


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