孤独女と王子様
☆無視できない気持ち~side YUI~
10月も終わろうとしていた頃。

私は閉店間際の4Fフロアを回っていた。

さっきまで2Fにあるバックヤードで明日から始まるフェアの飾りつけをしていて、閉店の時間であることをすっかり忘れて作業をしていた。

慌てて4Fのレジを締める作業を始めようとすると、お客様が残っていた。
見ると、あの時の"ホテルマン"だ。

身長が高くて、浅黒の顔の小さい王子様風。

カッコ良くスーツを着こなして。改めてみると、やっぱりイケメンだ。

『あ、あの時の店員さんですね。探しましたよ』
「いらっしゃいませ。先日、CSの本を買われたお客様ですよね」
『覚えていらっしゃったんですか?嬉しいです。確か・・・貴方は"かんべさん"ですよね』

私の名前・・・あ、ネームプレートか。

うちの書店は、全員ひらがなで大きく表記をする。
小さい子供でも分かるようにという社長の方針らしい。
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