孤独女と王子様
★マスターと彼女と僕~side GOU~
【soulager(スラジェ)】

店の看板は文字を崩し過ぎてて、読むのがやっと。
彼女はこの店の文字と場所が分かるだろうか。

いや、その前にそもそもここに来て貰えるのだろうか。
僕はカウンターでひとり、ハイボールを飲んでいる。

この店は行きつけ。
マスターが僕の大学時代の同級生の父親。

成瀬川学院大学時代は、その友人達と青春を謳歌できたと我ながら思う。

ナルガクはセレブの集まりなんだけど、このマスターは資産家。
趣味でこの店を経営していて、あまり儲けに興味がないため、知る人は少ない。

かんべさんのいる、わかば堂書店本店からは歩いて5分もかからないけど…とにかく分かりにくい。
地下だし。

だから、かんべさんに渡したメモに僕の携帯の番号を書いておいた。
地下でも、電波状況に問題ないことは知っていた。

わかば堂書店の閉店時間から20分ほど過ぎたところで、ドアについているカウベルが音を鳴らす。
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