【完結】遺族の強い希望により
愛していた。
或いは、それ以上深い愛の示し方などないと思い込んでいた。


行為は初めてだったが、必要最低限の知識くらいはある。
事前に手に入れてあった避妊具を制服のズボンのポケットに隠し持っていた。

いよいよという時になって男がそれを取り出し袋を破こうとすると、女はその手を掴んで首を横に振った。

「そのまま……」


意図するところを、汲み取れないほど野暮ではない。
最初で最後の情事だからこそ、より深く、薄い壁1枚の隔たりもなく繋がりたい。
その気持ちが互いにある。
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