真夜中のパレード
心変わり



葬儀の準備で忙しくて、

親族はゆっくり悲しむ暇もないという話を
聞いたことがあった。


透子もその例に漏れず、

葬式や遺産相続の手続きなどで

怒涛の日々で、あっという間に忌引の一週間が過ぎ去った。


叔父は幸い親切で協力的で、

何か揉めるようなこともなかったので
すんなりすべてが終わったと思うけれど、

それでも終わった後は疲れ、
燃え尽きてしまったようだった。



ようやく母の身辺の整理など
ひととおりのことが終えると、

仕事に復帰することが出来た。



透子が一番に思ったのは、
上条にあらためて謝罪と感謝をしなければ
いけないということだった。


「色々ご迷惑をおかけしました」


そう告げると、
上条は穏やかに微笑んだ。


「お葬式、無事終わったか?」


「はい。ありがとうございます。

上条さんのおかげで、
ちゃんと母をおくってあげることが出来ました」


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