Sweet Lover
16.突然の来訪者
お寿司屋さんに行くのもいいけど、今夜は二人でゆっくり食事がしたいという響哉さんの提案で、マンションに戻った私たちは、二人で食べるには多すぎるくらいの食材を並べて、手巻き寿司の用意をした。

なんてことない話をしながら、二人で料理するのはとても楽しいし穏やかな気持ちになる。

さあ、頂きます。と、席に着いたその時。
見計らったかのように、

ピンポーン ピンポーン ピンポーン

不意に乱暴に呼び鈴が鳴った。


同時に、家の電話と、響哉さんの携帯電話もかしましい音を立てる。

「……なんなんだ」

響哉さんは不服げに言うと、携帯電話を片手に立ち上がる。

私は家の電話に出た。

「はい、須藤――」

です、という時間も与えずに

「一階の管理室です。すみません、須藤さんっ。脱兎の如く入られて、そのっ。
 あのっ」

管理人さんは動揺のあまり、言葉が紡げないようで、要領の得ない話を早口で繰り返すばかりだ。
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