ありがとう~君との時間は宝物~
一章 帰省-再会-
「ふぅー、暑いよぉ!」
この暑さは苦手だ。去年の夏からだったっけ?私が、この季節を苦手だと思うようになったのは。
「アイス、た、食べる?」
んぅーー?どうしよっか?貰っとこかな…
「ありがとう!んっ!これおいしい!」
なにこれ?!すごくおいしいよぉ
「へへ、新発売だからおいしいのか分かんなくて、味見をさせてみたわけですよ!」
なっ!!
「騙したな…」
騙された……グズッ


こんにちは、私は外園とわです。中学二年生のです!
ちなみに、私に味見、いや、毒味をさせたのは、彼氏の内田優太です。
今は、夏休みが始まってすぐの部活の終わりの帰りで…他から見ると甘々な会話をしている、ウザいカップルでしょう…笑
まぁ、それは置いといて下さい。肝心なのは、そこではなく、私の心ですから。

「ねぇ!この前、悠成から手紙きたよ??
とわと付き合ってるのか?だってさぁ…」
ズキッ
「…………っ!そっ…かぁ!!
で?なんて返事、だすの??」
「付き合っているって、ね!」
うっ…そうだよね…
「うんうん!!じゃ、塾あるからまたね!」
ごめん優太、嘘、塾なんて無いんだけどね…
一人になりたいから、本当にごめん。

あ…ここに来ちゃったかぁ…

悠成は元気にしてんのかなぁ…
なんて…もう関係ないことだよね…
うぅっ…うぅ 
「あー、一人で良かった!こんなの…
優太に見せらんないもーん!」
馬鹿…強がんないでよ。私の馬鹿。

なんで、遠恋でも耐えられるって、言えなかったんだろ。あの頃の私。小さいなぁ。
今も変わんないかぁ。
「ふふっ…ふふっ!うぅっ…うぅっ……」
ポロリとまた落ちた涙は、とりあえず、見なかった事にしておこう。


「とりあえず、優太にメール打っとこかな…」

“優太ぇ
ごめん。急に帰っちゃって!!
塾のために帰ったんたけど。なかったです( ・_・)
すいません。今度どっかでおごるね!
考えといて下さい!
             とわより”

よし!送ったね…!
ピピ!返信かな…??
“いいよっ!気にしてないから!!
でも、おごりたいなら、おごらせてあげます!なので、明日11時に俺ん家??O.K.??
           優太より”
早い!返信早い!どこかで見てたのか……??
まぁ、明日って、急にですね…優太も…。

とりあえず、パッパッと終わらせちゃおっと!!

早く着きすぎたのか??でもあと、四、五分だからいいじゃん??
よし!腹くくれよ!とわ!!
でも、初めて入るなぁ…。いい匂いかな…??
そんな事を考えながらインターホンを押した。
「バタバタ!!ドガッ!!痛い!押すな押すな!!」
ガチャン!え?う…そっ?!
「よぉ、ひさしぶりな!!とわ!!」
ゆう……せ…いぃぃ??!!!
パタップツン
何かが切れた?

「…わぁ!…と…きろ…!」
「う…ん?どこ…でしょうか?」

あれ?ここどこ??
なんか頭も痛いし、喉もカラカラだなぁ…
「とわ??大丈夫?どこか痛い所なぁい??
冷えピタ貼ろ??」
優太居るから、家の中かな…??
すごく心配してくれてる、ありがとう。
横の人は…あぁやっぱり、悠成だ…
どうして居るの??

……………………………………
「で、ドアを開けた瞬間、私が倒れたと?
なんか…ごめん優太。心配かけちゃって…
あと、ありがとう。悠成も?かな?」
分かんないけど、とりあえず。
「「どういたしまして!」」
でも、なんで優太の家に悠成が居るの??
あれか、帰省ってヤツなのかな…?
まぁ、いいや。もう、終わったことだしね…関係ないこと!!
でも優太知ってたな。帰ってきてたこと。
あとで怒る。
いくら、私たちの関係を知らなかったとしても、連絡くらい。ねぇ…?
でも、少し怒ってから、許してあげよっかな…。看病してもらったりしたから。

「あー、でもとわが元気そうで何よりですね~!アイスもおごってもらったしねん!!」
なんでついてきてんのかな?まぁ、別にいいけど///
照れんな!私!!優太もいるんだから!
でも、懐かしいかなぁ。こういうのは…



-------------------
私は、悠成と付き合いはじめて色んなことを知った。
事の始まりは、今日みたいに暑い日でした。部活終わりに顔を洗っていたら
『おっさんかよ!ププ』
って、言って来る人がいた。それが悠成だったの。
それからは、毎日来たから、嫌でも顔も名前も覚えちゃって…
帰りは一緒に話しながらで、密かに楽しかった。
ある日帰りながら行くと、
『外園って、鈍い?オレの気持ち気づいてもらってますか?///』
いきなりだったから、同じ事を繰り返していたのです。
『悠成って、鈍い?私の気持ち気づいてもらってますか?///』
二人はカップルになってから、いつも一緒だった。
家で勉強して、海、プール、祭りにいっぱい出かけたりもした。
本当に大好きでたまらなかった。

でも、別れって、知らない間に近づいてくるんだ。
『オレ、転校すんの…とわ、別れて下さい。』
『………………うん』
精一杯だった。返事するだけで、胸が壊れそうな勢いだった。
『うぅっ、な、、んでよ。ずっと一緒がいいよっ』
家で一人で泣いて泣いて泣いて泣いて、別れ際の言葉が頭の中でリピートされる。
『とわの事好きなヤツが居てさぁ…
ソイツと付き合ってくんねぇ?内田優太って、言うから。』
なんで??そんなに、私って、邪魔だったんだね…って、何度も思った。
悠成と付き合いはじめて色んなことを知った…
好き。大好き。離れたくない。愛おしい。楽しい。
色んなことを。知った。

最後の言葉は『……さようなら』
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