Sweet Lover
33.告白
広い庭の一角にあるそこは、山小屋を思わせるような、カントリー風の建物だった。

それでも、ちょっと違和感を感じるのは、カントリー風の建物にしては、縦に長いせいだ。

私の不思議そうな視線に気づいたのか、

「ここは、響哉が鳩を飼っていたところ」

と、先生が教えてくれた。


鳩のための小屋にしては立派過ぎません? というのは野暮なので止めておく。

母親の名前すら知らない少年の、ささやかな趣味。
そのために、彼の祖父がお金を惜しむとは思えなかった。


「本当にいいよ。
 真朝ちゃんは付き合わなくて」

先生が私を見て、穏やかに笑う。

「見届けないと、納得いかないわ」

「それはそれは、殊勝な心がけだね。
 ――犯罪者と会話を交わすなんてあまり、愉快なことはないと思うけど――」

幾度も私を止めようとする先生を押し切って、私も小屋の中へと足を踏み入れた。
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