.:*・'仮恋〜甘い声で惑わす君〜.:*・'
第1章

仮恋の始まり




「俺、入学した時から佐伯さんのこと気になったんだよね。
だから、付き合ってほしんだけど」




体育館裏に響く相手の声。




ビュッと吹く春の暖かい風に揺られながら、その言葉をどう断ろうか考えていた・・・。




あたしの名前は佐伯優実(さえきゆうみ)。




高校1年生で得意なことは料理の他は特にないというなんとも微妙な女の子だ。




こうやって告白されるのは何回かあるけど、正直言ってあたしはまともに恋をしたことがない。




だから、こうやって告白する人はすごいなって思う。




でも、あたしと喋ったこともないのにどこを好きになってんだろって疑問にも思う。




「・・・ねぇ、聞いてる?」




その声にはっとし、男の子を見る。

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