最後の恋愛Ⅱ
第1章 「揺れる真実の真相」
コピー機の前に突っ立って、もうすぐ5分が経過するだろう。

印刷されては出てくる会議資料をただ、じっと見送りながら、考えているのは昨日のことである。

まさに油断大敵

それを身をもって知った夜

圧倒されたまま、否応なしにつないだ手に引かれて歩いて行くだけ。

思いのほか、大きな手

だけど、暖かくて

見上げるとその視線の先には、いつだって自分を見つめる優しい瞳がある。

それに女に戻されて顔を伏せる

それの繰り返し

絡めた指先をすりすりと擦り付けてきたり、それから時折引っ張って自分の身体に私をくっつける。

ずっと

思ってた顔と違う顔ばかり見せる大麦に、驚きと言うよりも衝撃が隠せない。

そして―

幾度となく落とされる甘い口付け

・・・

待て待て待て待て!!!!

私、流されすぎじゃない??

っていうか、付き合ってと言われたわけでもないのに、何回キスさせた??

大体、お前は俺の女って何よ

嫌だっていうくらい愛してやるって何!?

好きってわけ?

私を?

まさか、だってもう35歳よ?

それを、いきなりそんな・・・

あ、分かった!

からかわれたんじゃないの?

遊ばれたんじゃないの?

騙されてんじゃないの?

だってSだし

あの人、ドSだし!!
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