最後の恋愛Ⅱ
第5章 「危険な噂」
大麦とのお試し期間がはじまって、はじめての月曜日が来た

今週末には、お試し期間が終了するのかと思うと・・・

早すぎる気もするけど、仕事場にいる大麦と二人の時の大麦のギャップに、

そろそろ慣れてきたような気持ち

そういえば、柊にもながいこと行ってないな・・・

と、部下の柊の顔を見ながら髣髴する。

そういや蘭子ともハルとのことがあって以降、飲みに行ってない

とはいえ、月曜から飲みに行くのは辛いか

水曜辺りならどうかな

そう思いつつ、ランチへと出かけるための準備を整える。

「あ、森さん!」

その声に、ハッと振り返った。

そこには柳生の姿がある。

「今からランチ?一緒に行っても?」

と、聞かれたけど、その手には既に財布が握られている。

どうやら、返答の余地はなさそう。

しぶしぶに見えないように、はいと返事して微笑んだ。

昼食に選んだのは、スパゲッティ専門店。

海鮮のトマトスパを食べながら、柳生が話し出すのを聞く。

「そういえば、あれ、どうなった?」

あれ

と、言われて思い出すのは大麦のこと以外にないけれど、とりあえずとぼけてみる。

「あれ、といいますと何のことでしょうか?」

「またまた~分かってるくせに。あいつよあいつ、セクハラ上司。」

その表現に間違いはない。

私は少し微笑して答えた。
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