本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
再会30分前  side小牧
「最低!その気にさせといて出来ないとか信じられない。」
怒りを露わにしながら女はその場から去って行った。

残ったのはヒリヒリした頬の痛みだけ。
「……いって~な~」
右手でヒリヒリした頬を抑えながら女の後姿をぼーっと見てた。

仕方ないだろ?
どいつもこいつも違うんだから。
俺は大きく肩を落とす。
忘れたくても忘れられず、杏奈に似た女性に声をかけるが所詮は他人。
杏奈と酷い別れ方・・・いや正式にはお別れしてない。
あの時から一言もしゃべることなく10年が経とうとしていた。

この10年、何にもなかったわけじゃない。
でも長続きしたことなんか一度もなかった。
いや、なかったと言うよりは出来なかったというべきだろうか
いつもちらつく杏奈の顔・・・そして杏奈との思い出

ここまで自分が一人の女性に執着しているなんてどうかしている。
今の女もたまたま会社の奴と飲んでたら
逆ナンされて、俺がトイレに行こうと立ち上がったら時間差でついてきて迫られた。
仕方がないからキスしたけど、全然よくない。
だからあの女が俺の口に舌を入れてこようとしたのを全力で阻止した。
こんな事、今まで何度もあった。
その度にこれだよ。
挙句の果てに平手打ちだもんな勘弁してくれよ。

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