初恋も二度目なら
ツンデレ男の愛情表現
超不機嫌なオーラを放つ部長とは対照的に、悠希さんはすごくリラックスした雰囲気な上、顔はまだニマニマしたままだ。
全く同じ外見なのに、対極的に違う二人を、私はハラハラしながら両手を組んでみることしかできない。

一体何なの?この「作戦」は!

「ぶちょうっ・・・!」
「小夜(さや)ちゃんは俺の友だち。マジで。な?小夜ちゃん?」
「そ、そう、です。けど!」
「さっきから笑えねえ冗談かましてんじゃねえよ。おら悠希!俺は帰るって言ってんだろ?手離せ!」
「部長っ!ダメッ!!」

部長を引きとめなければという一心で、私は部長に思いきり抱きついていた。

そのとき、「シナモンロール、できたわよ~」とのんきな声を出しながら、やっとユキオくんがキッチンから出てきてくれた!

あぁよかった。部長の力が・・・抜けてきた。

「あ・・・あんた、さっきの・・・」
「俺の恋人は、あっち」と悠希さんは言うと、シナモンロールが入ったお皿を持って、ニコニコしながら立っているユキオくんを、指さした。

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