全部、抱きしめて
つきまとう不安








「ただいまー」

「おかえりなさい」

夜の7時を回った頃、リビングでテレビを観ていたら、直也が仕事から帰ってきた。

直也とつき合い始めて、早いもので2ヶ月が経とうとしている。季節は冬本番の11月に入ったばかり。

最近は、直也の自宅で直也の帰りを待つことがほとんで、いわば半同棲状態だ。

だいたい、あたしは定時上がりだけど、直也は日によってバラバラだ。

つき合い出してからは、残業が増えてあたしは先に直也の自宅に帰り、晩ご飯を作って待っているというのが日課になってきた。

「外寒かったでしょ? 温かい肉じゃが出してあげるから、少し待ってて」

ソファーから立ち上がり、キッチンへ向かおうとした時、直也に後ろから抱きしめられてしまった。

「直也?」

「由里子、生理終わった?」

「普通そいうこと単刀直入に聞くかな?」

あたしは苦笑する。

「で、終わったのか?」

「終わったよ」










< 122 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop