色恋 〜Colorful Loves〜
YELLOW - 月光の囁き




《月光の囁き》









「………きれいな月」




障子窓の向こう、濃紺の夜空に、目を瞠るほど黄色い満月が浮かんでいた。



夜は浅く、月はまだ低い。



あまりにも大きく、くっきりと浮かび上がった月は、この手につかめそうな気がした。



でも、私にはできない。




なぜなら、私はこの部屋から出ることなど許されないから。




この身に天女の羽衣を纏って、空に舞いあがることができればーーー




「………ふふ。はかない夢ね」




自分の子供じみた空想に、自然と自嘲的な笑いが洩れた。




障子一枚隔てただけの外の世界は、私にとっては、あまりにも遠い。





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