うらばなし
如何にして、コレに至るか

ーー

初めての、クリスマスデートだった。

「ホワイトクリスマスで、こんなにもイルミネーションが綺麗な場所でともなると、何だか出来すぎていますね」

「俺が神様に願っておいた。最高のクリスマスになりますように、って」

ふざけた面持ちの彼と腕を組む。
歩きにくくて結構。恥ずかしさが半減したのは、周りも私たちみたいなカップルばかりだったからだ。

「私も、神様に願っていいですか」

「神様じゃなくて、今日はサンタに願いなよ。明日起きたら、枕元に置いてあるから」

今日はクリスマスイブだ。無論のことながら、目覚めも彼と一緒の予定。かっこいいサンタさんなことで、とふざけには、ふざけを返しておく。

「それで?三葉(みつは)は、何が欲しいの?」

「欲しいものは、もう手に入ったので。願いたいことですよ」

ここまで言えば、彼も察したか。歩みを止めて、私と目を合わせる。

「宮本さんと、このまま幸せな日々を過ごせますように」

神様に願う。

「三葉を、必ず幸せにしよう」

神様に誓う。

互いに似たような笑顔になった。幸せ過ぎて、これ以上の喜びを表現出来ない。

「出来すぎていますね」

「幸せを絵に描けば、こうなりそうだ。例え、神様いなくても、俺はいつもでも三葉を幸せにするよ」

神様以上の彼と、また腕を組む。ーー矢先。

「記念にどう?」

スマホを取り出す彼。写真を撮ろうと言うのは分かった。

どこかの誰かに撮ってもらおうと思えば、彼は私を抱き寄せる。

「俺が撮るよ。そうすれば、かなり密着出来るし」

左手で私の肩を持ったまま、右手でスマホをかざす彼。

お決まりのかけ声と共に、シャッターが押される。

「初めてのツーショットですね」

「だね」

「現像とか出来ますか?部屋に飾りたいです」

「やっておくよ。写真立てつきで渡すから」

幸せの一時を詰め込んだ一枚。
これから先も、彼の隣にいる限り、この顔でいられるのだろう。

幸せだと笑い、幸せだと笑い返される。

そんな関係性。私と彼は、愛し合っている。何があっても、離れないほどに。




< 1,744 / 1,773 >

この作品をシェア

pagetop