コトノハの園で
9・オオマチガイのセイカイ




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退勤間際に贈答用の詰め合わせの注文を大量にいただき、遅番の先輩と慌てて包装にとりかかった。無事に、待たせることはあまりなく、お客様に受け渡しをすることも出来て、本日の勤務は終了。


急いで着替えを済ませ、予定よりやや遅れて、私は駅のホームを目指した。


ヒールが高くない履き慣れているはずの靴なのに、改札を抜けた先の階段を上るリズムが、今日はなんだか上手くいかない。


急いでつけたピアスが案外揺れて気になったからだと、勝手に解釈をする。


目の前で乗るはずだった電車を逃してしまい、私はベンチに腰掛けた。


香田さんに遅れるとメールを送ると、ほどなくして、了解との返信があった。


電車を待つ間に鞄から鏡を取り出し、さっき走ってしまったからと乱れた髪を手で直す。確認して良かったと誰もが頷きそうなくらい乱れていたのはそこだけじゃなくて、慌てて化粧も。


鏡の中、揺れて光った今日初めてつけるピアスに視線がいきそうになり、私は慌てて鏡をしまいこんだ。


帰宅ラッシュ時間の電車はそう待つことなく次がやって来て、私は出入り口付近に乗り込む。


そこからずっと――電車を降り、改札を出て、目的地へと歩く私の歩幅は、いつもより小さく……これもやっぱり、ピアスのせいにした。


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