ヴァニタス
2人だけの結婚式
それから2ヶ月後。

激しく鳴いているセミに夏も真ん中くらいに入ったんだなと感じた。

「ここが果南ちゃんが生まれ育った家なんだ」

武藤さんが言った。

2階建ての白い壁が特徴的なこの家は、私が大学を卒業するまでに過ごした家…つまり、私の実家だ。

白い壁が太陽に反射されて、キラキラと輝いているように見える。

この年齢なのに実家に帰ることに緊張しているのは、自分から2年間音通不信にしてたのももちろんある。

「果南ちゃん」

武藤さんが私の名前を呼んだ。

「ご両親にもちゃんと事情を話したんでしょう?」

そう聞いてきた武藤さんに、
「そうですけど…」

私は首を縦に振ってうなずいた。
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