猫の恩返し
☆自覚した気持ち☆
それから車の中でナツの作った弁当を食べ、公園の中をグルリと回る

ブランコで立ち漕ぎして喜び、滑り台を滑って歓声を上げ…

そんなナツを見ていると、雅美との嫌な思い出も薄れてきた


「こんな風に過ごすのも、いいもんだな」


「へ?」


ブランコに揺られながら、ナツが首を傾げる


「こっちの話」


「何で?教えてくれてもいーじゃん」


「聞いてどーすんだよ」


「ん───…」


ヒョイとブランコから飛び降り、華麗にポーズを決め満足そうな顔をした

体操の選手であればオリンピックで表彰台に立てるだろう


「トーゴが悩んでるなら、力になりたいなぁーって思っただけ」


「猫のくせに」


「………」


冗談でそう言ったものの、ナツはポーズを決めたまま黙り込み、俯いてしまった
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