咲かない花
コクった予定が早まったからなのか。
不意打ち同然で私に告白をしておきながら、二宮くんは、今までと変わらない態度で接してきた。
同じ学園で教師をしてても、仕事上の接点はないから、普段あまりしゃべる機会がないという状況も相変わらず。
先輩教師と後輩教師という関係も、二宮くんが私より8つも年下だという事実も、もちろん変わらない。

こっちは、誕生日に京都へ行っても、心のどこかに二宮くんという存在が引っかかっているというのに。
考えたくないのに、ふと二宮くんのことを考えてしまう自分が、なんか嫌!と思って、冬休みにはパリへ一人旅してきた。
でも、距離的にグンと離れても、やっぱり二宮くんのことを考えてしまう私がいて。

イライラした私は、忘年会と新年会のとき、意識して二宮くんと距離を置いて、極力彼の方を見ないように努めた。

それでも二宮大輔くんという存在は、私の心に存在感という根を生やし始めている。
この根を断ち切らなきゃ。芽が出る前に。育てちゃダメ。
まして、花なんて咲かせちゃ・・・ダメ。

という自分への言い聞かせは通じたと思っていたのに・・・。


< 65 / 135 >

この作品をシェア

pagetop