鬼部長の優しい手
誓いと速まる鼓動速度


惜しみない拍手と歓声、
色鮮やかなフラワーシャワー。


部長とゆっくりと階段を下りる。


「おめでとう!幸せにねー!」


いつもより三割増しで元気な山本君の声。


「部長ー!また涼穂を泣かせたら、許しませんからー!」

いつもより三割増しで気迫がある黛実の声。

「わかってる。余計なお世話だ!」


そして、いつもより三割増しでかっこいい部長の声。



眉をひそめて少し頬を赤くする部長。
普段の仏頂面が嘘のように可愛い。

みんなが作ってくれた花道を歩きながらそんなことを考える。


…ああ、また泣きそうになってきた。
幸せすぎていいのかな。


さっき教会のなかで部長と誓いあった。
キスをして、愛してるって言い合って、

そのときよりもずっと、式が終わった今のほうが、



「…好き。好きです。部長」

花道を歩ききった後ぼそっと独り言のようにそう言う。

「馬鹿。そんなこと言うな。」


私のその一言でおもしろいくらいに部長は顔を
赤くする。

すねたように言った部長がまた可愛くて、
私は思わず笑ってしまった。



「…笑っていられるのも今のうちだ。」

「え?」


部長のその言葉の意味を理解できずに間抜けな声を出した直後、部長が急に跪づき、
右手で私の体を支え、左手で私の足をとった。


ちょ、なによこれ!部長なにする気なの!?


驚く私をよそに部長はすっとドレスに手をかけ、少したくしあげると、私の足についてある青いガーターベルトを噛んだ。

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