嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。
エピローグ。


貴方は、私の中の忘れられない、たった一人の人。
全て、生涯も青春も初恋も初めても捧げた人。

もう二度と戻れなくても、
貴方がくれた命と、私は生きて行くって決めた。

この命を、助けてくれた幹太のおかげでそう決めた。


幹太の心に甘えたくなくて、言わない幹太が悪い。
正直に言わなくて、背中を向ける幹太が悪いと、
私は何もかもから逃げてきた。

それでも、空は朝になるし夜になるの。

夕暮の空は、幹太が照れた空の色。
朝焼けの明星が輝く紫色の空は、夜から私を奪い去って行く貴方の色。

ネクタイを緩めながら、台所に近づいてきて鍋を覗きこむのが貴方の日課で、
お皿を並べてくらながら、鼻歌を歌って嬉しそうな貴方が好きだった。

今も心を埋め尽くす。

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