印堂 丈一郎の不可解な生活
不可解な劣勢
ジャラリと。

ベナルは右腕にぶら下がったままの太い鎖を握り締める。

体に残ったままの拘束具の名残。

彼はそれを武器として利用する。

嘗て自身の首を刎ねたギロチンも、動きを封じていた鎖も、いまや彼にとっては全て武器だ。

自身を封じていたものを、他者を封じる為に、殺す為に使う。

「皮肉なものよな、貴様ら人間は、貴様ら自身の首を絞める為にこの鎖を俺に与えた!」

風切り音を立てて鎖を振り回すベナル!

振り下ろされた鎖は。

「!!!!」

咢と雪城に回避されたものの、叩き付けられたアスファルトを粉々に打ち砕いた!

< 161 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop